産経新聞2005年10月07日付け朝刊

防犯情報ケータイに配信 宇都宮の小中5校 不審者から子供守れ PTA主導「先進的な取り組み」 連れ去りやつきまといなど子供を巻き込む事件が多発しているなか、地域で情報を共有することで子供の安全を守ろうと、宇都宮市清原地区の小中学校五校では来月から、PTAが主体となって、警察署が発進する防犯情報を携帯電話のメールで配信するサービスを試験的に開始する。同様のサービスは足利市教育委員会など県内外でも教育委員会レベルで行われているが、PTA主導での実施は全国でも珍しいという。 サービスを開始するのは清原地区の清原中学校と、清原中央・清原北・清原南・清原東の四小学校で、宇都宮東署から発信される不審者などについての情報が配信される。 試験運用のため、学校職員とPTA役員に限って配信するが、今年度中に効率的な運用方法を確立、来年度からは一一〇番の家など、学校関係者以外にも配信して子供の安全を守る体制を築きたい考えだ。 導入のきっかけは今年2月に宇都宮市鐺山町で、下校途中の小学六年の女子児童が男に口をふさがれた事件。過去にも同様の事件があり、「不審者の情報を地域で共有できていれば防げたのではないか」という思いから、五校のPTAで連合して作る連絡会が情報サービスが専門のNPO(民間非営利団体)「e-とちぎ」(藤平昌寿代表)に相談。初期費用十万円で構築し、実験運用にまでこぎつけた。 個人情報を含む申込書は各PTAが管理し、NPOにはメールアドレスだけを連絡するなど、個人情報の保護についても注意を払っている。碓氷光正事務局長は「メールは即座に受信して対応できるというメリットがある。情報を共有することで地域に子供たちの安全を守る意識を育てたい」と話し、今後も同様の相談があれば対応するという。 宇都宮市では今年四月から今月四日までに、学校内外での子供への声かけやつきまといなどの事案が五十二件と昨年度の八十六けんを上回るペースで発生。同市教育委は学校間で情報の共有を図ってきたが、防犯情報のメール配信は「情報の正確性の確保が難しい」などとして行ってこなかった。今回の試みについては、「先進的な試みで参考にしたい」として注目している。 足利は事件激減 一方足利市では、同市教委が今年四月から、一般市民を対象に、子供を狙った犯罪情報や学校で起きた不審者侵入の情報を取りまとめて携帯電話のメールに配信するサービスを開始。登録者は現在七百八人と予想よりも少ないが、子供を狙った事件などは、昨年度の九十八件に比べて今年度は今月三日までに三十八件と激減している。

© Copyright 2005-2007, e-tochigi.org. All rights reserved.